1.この曲について
Dexter Gordon(デクスター・ゴードン)の1966年リリースのアルバム「Gettin' Around(ゲッティン・アラウンド)」から、Dex本人作曲の「Le Coiffeur(ル・コワフェウ)」を取り上げます。「美容師」の意味です。「ル・コイフェウ」と発音する方もいますが、フランス語なので「oi」は「オワ」と発音するので、「ル・コワフェウ」の方が近いと思います。
2.参考テイクについて
収録アルバムは2回目の登場ですね。既に「Heartaches」で取り上げた1965年5月27日〜29日の3日間セッションの中日、28日の1曲目として録音されたようです。曲としてはA(8)-A(8)-B(8)-A(8)で32小節ですが、テーマとソロのコード進行と小節数が違う、テーマに簡単なキメがある、テーマの後にヴァンプのような中間部がある、などと中々にセッションでは扱いづらい曲です。
Dexのディスコグラフィーによると、後にも先にも上記セッション1回のみしか録音していません。数多いライブ録音にもありません。Dex本人もライブで演奏しない曲をセッションでやるなんて、なんて物好きなんでしょう(>自分)。
ビートは終始ラテンです。ボサノヴァやサンバではなく、「ラテン音楽」という意味での「ラテン」です。専門的はよく分からないのですが、ルンバとかチャチャチャとか、そんな感じ。まあ、最悪、ボサノヴァでも良いですけどね。スウィング(4ビート)にはしない方が良いと思います。
イントロなしに、いきなりテーマから入ります。A-A-B-Aですが、最後のAを2小節クッて8小節のヴァンプという構成。2回目のAの最後に音を止めないブレイク。ぼくはサスティン・ブレイクなんて呼んでいます。
2回目A-終わりの音を止めないブレイク

続いてのB。AmへのII-Vなので、通常ならばBm7-5 - E7となるところを、敢えてBm7 - E7としています。Am7の次はD7ではなく、F♯m7-5にすることで、マイナー感を維持しているように思います。構成音は殆ど同じですが、ベースがF♯を弾いているので。最後の2小節は、1拍半ずつのキメです。
B

3回目のAは、6小節まではこれまでと同じで、2小節クッてヴァンプのような8小節。完全にブレイクして、バックはリズムを合わせます。最後の2小節でピックアップ・ソロに入ります。ちゃんとブレイク出来るかなぁ?
3回目のAからヴァンプ

ソロは32小節になります。テーマでやったキメは全てやらなくて良いと思います。
ラスト・テーマは前テーマと同様に演奏して、一番最後だけ、ブレイクせずに伸ばして終わります。譜面上は省略しちゃいましたが・・・
エンディング

3.いざ、セッションへ
以上を踏まえ、これをジャム・セッションで演奏してみましょう。まず、テーマとソロで、コードも小節数も違うことをしっかりと伝えるべきです。意外と聞いていない人が多いので、2回くらい言っても良いです。A'の終わりのふんわりブレイク、Bの終わりの1拍半、A"の2小節クッてのキメ、ラストは伸ばす、などなどを簡潔に伝えてから、演奏を始めましょう。
それでは、良きセッション・ライフを。