1.曲と参考テイクの説明

Al Hoffman(アル・ホフマン)作曲のHeartaches(ハートエイクス)は、1931年に出版された楽曲です。楽器での演奏事例が極めて少なく、そのせいか黒本やReal Bookに載っていません。必然的にジャム・セッションで演奏することは稀でしょう。ただ、曲としては、A(8)-A(8)-B(8)-A(8)の32小節で1コーラスの、普通の「唄モノ」で、コード進行もシンプルで、良い曲(これが一番重要)なので、取り上げました。この曲を知ったのはこのアルバムです。

Gettin' Around / Dexter Gordon Personal Score
Dexter Gordon (tenor sax)
Bobby Hutcherson (vibes)
Barry Harris (piano)
Bob Cranshaw (bass)
Billy Higgins (drums)

YouTube
Lead Sheet (C)
Lead Sheet(Bb)
Lead Sheet(Eb)
midi file
demo audio file
 
Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, May 29, 1965

1965年5月29日録音のクインテットによる演奏です。デックス(デクスター・ゴードンの愛称)のディスコグラフィーによると、前日の5月28日のセッションと合わせて、上記アルバムが作成されたそうです。さらにこの前日の5月27日に、ボビー・ハッチャーソン抜きで録音したセッションは後年、「Clubhouse」として、リリースされました。当時、Dexはデンマーク在住で、これらのレコーディングのために渡米したと思われますが、3日間でアルバム2枚分を収録というハード・スケジュールにも関わらず、ハイ・クオリティな演奏です。

Dexは3ヶ月後のコペンハーゲンでのライブでもこの曲を演奏していました。

Hearaches / Dexter Gordon Personal
Dexter Gordon (tenor sax)
Kenny Drew (piano)
Niels-Henning Ørsted Pedersen (bass)
Alex Riel (drums)

YouTube
"Jazzhus Montmartre", Copenhagen, Denmark, August 5, 1965

Jazzhus Montmartre(ジャズハス・モンマルトル?)はコペンハーゲンの有名クラブらしく、Dexは頻繁に演奏し、その模様がラジオで放送されていたようです。その際の録音がCD化されたおかげで、貴重な演奏をこうして聞けるわけです。

2.参考テイクのツボ

こんな感じのイントロで始まります。別にこの通りでなくても良いですが、軽快なニュアンスが出る方が良いですね。

イントロ
Intro

テーマはこんな感じでしょうか。原メロディーを推測して書いています。

テーマ

Dexは3小節目と6〜7小節目のコードを以下のようにⅡ-Ⅴにしています。ソロの時も同様にⅡ-Ⅴにしています。A'の7も同様に。但し、A'のA♭7-7はⅡ-Ⅴにしません。この辺は趣味でどちらでも良いと思います。

ちなみに1回目のBの最後もテーマでは以下のように演奏しています。ソロの時にはm7-7ですが。敢えてここまでマネする必要もないかと思います。

Ending

エンディングはお決まりのⅢ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴで引き延ばしています。但し、セッションで延々とヤルとイヤがられるのでご注意を。

3.いざ、セッションへ

以上を踏まえ、これをジャム・セッションで演奏してみましょう。おそらく何の説明もなしにいけると思います。


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