1.収録アルバム
Percy Heath(パーシー・ヒース)、Jimmy Heath(ジミー・ヒース)、Albert Heath(アルバート・ヒース)のヒース3兄弟の真ん中、Jimmy Heath(ジミー・ヒース)作曲のスタンダード・ナンバー、「The Time And The Place(ザ・タイム・アンド・ザ・プレイス)」を取り上げます。
初出はArt Farmer(アート・ファーマー)が1967年に録音した同名アルバムのようです。テンポは速め。ちなみにこのアルバムはライブ録音のように聞こえますが、歓声などはオーバーダブしたそうです。プロデューサーはもちろん、テオ・マセロ。
今回は特別にこのテイク、という縛りがあるわけではありません。YouTubeなどで試聴出来るものを紹介します。Jimmy Heath自身のリーダー・アルバムにも収録されています。ルバートでイントロが始まります。これはアルト?
Heath Brothers名義の演奏が「Pulp Fusion-Revenge Of The Ghetto Grooves Harmless」という2010年リリースのコンピレーション・アルバムに収録されていました。パーソナルなどは不明。3つの中ではテンポが一番遅いです。
自身が率いるビッグバンドでも演奏していました。
2.曲の構成を変更
ビートは8ビート、イントロに続いてA(12)-B(16)の1コーラス28小節です。イントロのリズム・パターンのままAを、Bの3段目(9~12小節)にキメがあります。そして最後4小節でまたイントロのリズム・パターンが来る、という構成です。Art Farmerのバージョンはテーマを1コーラス、Jimmy Heathのバージョンは2コーラス演奏しています。
ところがAの12小節というのが実に厄介でして、テーマの段階ではそんなに違和感はありませんが、ソロになると冗長に感じます。実際に演奏してみると、かなりの確率で小節数を間違えそう。ジミー・ヒースには何らかの考えがあって12小節にしたのでしょうが、ジャム・セッションで簡単に演奏出来るように、ここは大胆に編集してしまいましょう(テオ・マセロのように)。その結果、A(8)-B(16)の24小節になりました。
編集したテーマ
テーマだけを聞くと、ややあっさりした感じがしますが、ソロではこっちの方が断然良い。あまり知られていない曲なので、みんなにも違和感はないはずです。
3.イントロとA、Bの最後4小節
イントロとA、Bの最後4小節のリズム・パターンは以下の点を伝えれば良いでしょう。
イントロとA、Bの最後4小節のリズム・パターン
ソロに入ったら、コードはCm一発で良いでしょう。リズム・パターンはテーマのままでも良いし、自由でも良いと思います。
4.キメ
Bの3段目(9~12小節)にキメは、「1拍半5発+ン・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダーンです」とでも伝えれば良いでしょう。このキメはソロでも毎コーラス演奏した方が盛り上がるでしょう。
キメ
5.エンディング
Art Farmerのバージョンでは曲の最後に歓声が被されていてエンディングが不明ですが、Jimmy Heathのバージョンでは長めのエンディングが収録されています。
Heath Brothersのバージョンでも同様なエンディングが収録されています。
1セッションで長々とエンディングを演ると嫌われるだけなので、Aのメロディを2回繰り返して、同じメロディを違うコードでリタルダントしながら演奏して終わる譜面にしています。まあ、皆さんのお好きなように演奏すれば良いと思います。
エンディング例
6.Bの4小節目のコード
こんなことはメンバーに説明する必要はないと思いますが、Bの4小節目のコードの解説を。
「C7-13/F♯」は「F♯79 +11」と書いても良かったのですが、「C7-13」と書いた方が「Fm7」に至るドミナント7thということが明確になるのでこうしました。なのでソロの時は「C7」として演奏すれば大丈夫。
ちなみにベースの「F♯」は「Fm7」に至る半音上という役割です。5度進行(4度進行)と半音進行のダブルで解決を支援している、という構造になります。
C7-13/F♯のボイシング

7.いざ、セッションへ
以上を踏まえ、これをセッションで演奏してみましょう。
メンバーに伝える項目を改め整理してみると。
こんなところでしょうか。ジャム・セッション・バージョンはウケが良いと思います。是非、演奏してみて下さい。別にオリジナル・バージョンでも良いですが・・・
それでは、良きセッション・ライフを。