1.収録アルバム

Percy Heath(パーシー・ヒース)Jimmy Heath(ジミー・ヒース)Albert Heath(アルバート・ヒース)のヒース3兄弟の真ん中、Jimmy Heath(ジミー・ヒース)作曲のスタンダード・ナンバー、「The Time And The Place(ザ・タイム・アンド・ザ・プレイス)」を取り上げます。

初出はArt Farmer(アート・ファーマー)が1967年に録音した同名アルバムのようです。テンポは速め。ちなみにこのアルバムはライブ録音のように聞こえますが、歓声などはオーバーダブしたそうです。プロデューサーはもちろん、テオ・マセロ。

The Time and the Place / Art Farmer Personal
Art Farmer (flugelhorn)
Jimmy Heath (tenor sax)
Cedar Walton (piano)
Walter Booker (bass)
Mickey Roker (drums)

YouTube
New York City, February 8, 1967

今回は特別にこのテイク、という縛りがあるわけではありません。YouTubeなどで試聴出来るものを紹介します。Jimmy Heath自身のリーダー・アルバムにも収録されています。ルバートでイントロが始まります。これはアルト?

The Time And The Place / Jimmy Heath Personal Score
Jimmy Heath (tenor sax)
Curtis Fuller (trombone)
Pat Martino (guitar)
Stanley Cowell (piano)
Sam Jones (bass)
Billy Higgins (drums)
Mtume(percussion)

YouTube
Lead Sheet (C)
Lead Sheet(trombone)
Lead Sheet(tenor sax)
Lead Sheet(Bb)
Lead Sheet(Eb)
demo audio file
RCA Studios, NYC, June 24, 1974

Heath Brothers名義の演奏が「Pulp Fusion-Revenge Of The Ghetto Grooves Harmless」という2010年リリースのコンピレーション・アルバムに収録されていました。パーソナルなどは不明。3つの中ではテンポが一番遅いです。

Pulp Fusion-Revenge Of The Ghetto Grooves Harmless Personal
Jimmy Heath (tenor sax)


YouTube
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自身が率いるビッグバンドでも演奏していました。

Togetherness:Live at the Blue Note Personal
Jimmy Heath (tenor sax)


YouTube
Blue Note, New York, NY on October 30 & 31, 2011

2.曲の構成を変更

ビートは8ビート、イントロに続いてA(12)-B(16)の1コーラス28小節です。イントロのリズム・パターンのままAを、Bの3段目(9~12小節)にキメがあります。そして最後4小節でまたイントロのリズム・パターンが来る、という構成です。Art Farmerのバージョンはテーマを1コーラス、Jimmy Heathのバージョンは2コーラス演奏しています。

オリジナルのテーマ (Cメロ譜)

ところがAの12小節というのが実に厄介でして、テーマの段階ではそんなに違和感はありませんが、ソロになると冗長に感じます。実際に演奏してみると、かなりの確率で小節数を間違えそう。ジミー・ヒースには何らかの考えがあって12小節にしたのでしょうが、ジャム・セッションで簡単に演奏出来るように、ここは大胆に編集してしまいましょう(テオ・マセロのように)。その結果、A(8)-B(16)の24小節になりました。

編集したテーマ

テーマだけを聞くと、ややあっさりした感じがしますが、ソロではこっちの方が断然良い。あまり知られていない曲なので、みんなにも違和感はないはずです。

3.イントロとA、Bの最後4小節

イントロとA、Bの最後4小節のリズム・パターンは以下の点を伝えれば良いでしょう。

イントロとA、Bの最後4小節のリズム・パターン

ソロに入ったら、コードはm一発で良いでしょう。リズム・パターンはテーマのままでも良いし、自由でも良いと思います。

4.キメ

Bの3段目(9~12小節)にキメは、「1拍半5発+ン・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダーンです」とでも伝えれば良いでしょう。このキメはソロでも毎コーラス演奏した方が盛り上がるでしょう。

キメ

5.エンディング

Art Farmerのバージョンでは曲の最後に歓声が被されていてエンディングが不明ですが、Jimmy Heathのバージョンでは長めのエンディングが収録されています。

Jimmy Heathのバージョンのエンディング

Heath Brothersのバージョンでも同様なエンディングが収録されています。

Heath Brothersのバージョンのエンディング

1セッションで長々とエンディングを演ると嫌われるだけなので、Aのメロディを2回繰り返して、同じメロディを違うコードでリタルダントしながら演奏して終わる譜面にしています。まあ、皆さんのお好きなように演奏すれば良いと思います。

エンディング例

6.Bの4小節目のコード

こんなことはメンバーに説明する必要はないと思いますが、Bの4小節目のコードの解説を。

7-13/F♯」は「F♯79 +11」と書いても良かったのですが、「7-13」と書いた方が「m7」に至るドミナント7thということが明確になるのでこうしました。なのでソロの時は「7」として演奏すれば大丈夫。

ちなみにベースの「F♯」は「m7」に至る半音上という役割です。5度進行(4度進行)と半音進行のダブルで解決を支援している、という構造になります。

7-13/F♯のボイシング

7.いざ、セッションへ

以上を踏まえ、これをセッションで演奏してみましょう。

メンバーに伝える項目を改め整理してみると。

こんなところでしょうか。ジャム・セッション・バージョンはウケが良いと思います。是非、演奏してみて下さい。別にオリジナル・バージョンでも良いですが・・・

それでは、良きセッション・ライフを。


Last Update 10/23/2022 14:58 inserted by FC2 system