1.この曲について
ピアニスト兼作曲家のTadd Dameron(タッド・ダメロン)がJohn Coltrane(ジョン・コルトレーン)を迎えて録音した1957年リリースのアルバム「Mating Call(メイティング・コール)」から、タイトル曲「Mating Call(メイティング・コール)」を取り上げます。このアルバムから3曲目のピックアップです。
2.参考テイクについて
曲としてはA(8)-A(8)-B(16)-A(8)で40小節で、イントロあり、Aにキメあり、エンディングあり、という、これまたセッションにはハードルが高い楽曲です。黒本やReal Book 1〜3には収録されていませんが、「JAZZ LTD」という曲集には掲載されています。が、例によってイントロ、テーマのキメなどが記載されていません。
JAZZ LTD
ネットをググると、New Real Book風の楽譜を発見。イントロとテーマのキメが記載されていますが、一部、見えない所が。お金を払えば閲覧できます。
New Real Book風

3.演奏上のキモ
イントロは2小節弱の16分音符によるドラムに始まり、ピアノの左手とベースのユニゾンで4小節、奏でられます。
イントロ1

続く8小節も実はイントロ。イントロ1の上にテナーが加わります。
イントロ2

譜面上は「add drums」としていますが、正確には「ドラムが派手になって」、Aが始まります。イントロ2とテナーが同じフレーズを吹くので、イントロの続きかと思ってしまいそう。5小節目から違うパターンに入ります。これを2回繰り返します。ドラムは倍テンのアフロ・ビートをやっているような感じで難し過ぎたので、デモ演奏では手を抜いています。
A-A

Bはスウィング(4ビート)になります。テーマは出来ればピアノに弾いて欲しい。
B

A"はAと同じです。
ソロは終始、スウィング(4ビート)です。Aのコード進行はテーマの時とは違い、こんな感じにしています。
AとA"
A'
まあ、そんなに気にしなくても(厳密に守らなくても)いいように思います。実際、参考テイクのコルトレーン・ソロ1コーラス目のA'で、ベースが間違っています。
コルトレーン・ソロの1コーラス目のA'、ベースがAで弾いている
ベース・ソロや4バースは割愛した方が良さげ。ラスト・テーマで4ビートからラテンに戻るのが結構、大変かもしれない。実際、参考テイクでもラテンに戻る際に、手間取っています。ダメロン自身がまごついてますもんね。
ピアノ・ソロからラスト・テーマへ
ラスト・テーマをA-A-B-Aやってから、イントロに戻ります。参考テイクはイントロ2を繰り返して、フェードアウトしています。
エンディング
セッションでは合図で終わりましょう。
4.いざ、セッションへ
以上を踏まえ、これをジャム・セッションで演奏してみましょう。はっきり言って、初見では厳しいです。「聞いたことがある」程度でも難しいでしょう。一度、音源を聞いて、譜面をさらっておけば、なんとかなるかもです。それでは、良きセッション・ライフを。