1.この曲について

ピアニスト兼作曲家のTadd Dameron(タッド・ダメロン)John Coltrane(ジョン・コルトレーン)を迎えて録音した1957年リリースのアルバム「Mating Call(メイティング・コール)」から、「Gnid(ニッド)」を取り上げます。「G」で始まるのに「ニッド」と発音するみたい。意味は不明です。

2.参考テイクについて

Mating Call / Tadd Dameron Personal Score
Tadd Dameron (piano)
John Coltrane (tenor sax)
John Simmons (bass)
Philly Joe Jones (drums)

YouTube
Lead Sheet (C)
Lead Sheet(Bb)
midi file
demo audio file
Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, November 30, 1956

曲としてはA(8)-A(8)-B(8)-A(8)で32小節ですが、イントロあり、Aにキメあり、Vamp(ヴァンプ)あり、エンディングあり、というセッションにはハードルが高い楽曲です。黒本やReal Book 1〜3には収録されていませんが、「JAZZ LTD」という曲集には掲載されています。が、イントロ、テーマのキメ、Vampなどが記載されていません。

JAZZ LTD

ネットをググると、New Real Book風の楽譜を発見。テーマの決めとVampは記載されていますが、イントロがない。

New Real Book風

もう一つ、手書きのスコアがあり、こちらにはイントロもあります。何箇所か、ぼくと見解の相違はありますが・・・

手書きのスコア

3.演奏上のキモ

市販の楽譜には書かれていないイントロから。ビートはスウィングじゃない、イーブン(均等)な8分音符。テナーとピアノでリードし、ベースは2分音符や4分音符中心に弾いている気がします。ドラムは何をやっているか不明。コルトレーンが最初の音を吹いていないのはご愛敬。

イントロ

Aに入り、ノリはスウィング(4ビート)になりますが、キメキメです。

A-A'

Bはスウィングです。何もシカケはありません。

B

3回目のAは1小節クッてVampに当たるCに入ります。Cの前半4小節は音量を下げて。テナーもオクターブ下を吹きます。後半は音量を上げてテナーもオクターブ上を吹きます。

A"-C

参考テイクでは、ブレイク後のピックアップでピアノ・ソロが始まります。続いてテナー・ソロからドラムスから始まる変則4バースとテナー・ソロを経て、Bからラスト・テーマに入ります。

油断しちゃって間違いがちなのが、エンディング。前テーマと同様にA-A-B-A-Cと進みますが、最後2小節でコーダに入り終わります。当初、ぼくの譜面はCODAを最後に書いていたのですが、みんなが(ぼくも含めて)見逃しちゃうので、テーマのすぐ後に変えてみました。

エンディング

3.いざ、セッションへ

以上を踏まえ、これをジャム・セッションで演奏してみましょう。イントロがあること、テーマとソロでコードと小節数が違うこと、A"の1小節クッてVampがあることなどを伝えましょう。あと、コーダを忘れそうになるので、念を押しておきましょう。イントロは均等な8分音符であることも言っておきましょうかね。

テーマのテナーは高い音ばかりなので、意外と難しいです。それでは、良きセッション・ライフを。


Last Update 01/03/2021 18:54 inserted by FC2 system