1.この曲について
ピアニスト兼作曲家のTadd Dameron(タッド・ダメロン)がJohn Coltrane(ジョン・コルトレーン)を迎えて録音した1957年リリースのアルバム「Mating Call(メイティング・コール)」から、「Gnid(ニッド)」を取り上げます。「G」で始まるのに「ニッド」と発音するみたい。意味は不明です。
2.参考テイクについて
曲としてはA(8)-A(8)-B(8)-A(8)で32小節ですが、イントロあり、Aにキメあり、Vamp(ヴァンプ)あり、エンディングあり、というセッションにはハードルが高い楽曲です。黒本やReal Book 1〜3には収録されていませんが、「JAZZ LTD」という曲集には掲載されています。が、イントロ、テーマのキメ、Vampなどが記載されていません。
JAZZ LTD
ネットをググると、New Real Book風の楽譜を発見。テーマの決めとVampは記載されていますが、イントロがない。
New Real Book風
もう一つ、手書きのスコアがあり、こちらにはイントロもあります。何箇所か、ぼくと見解の相違はありますが・・・
手書きのスコア
3.演奏上のキモ
市販の楽譜には書かれていないイントロから。ビートはスウィングじゃない、イーブン(均等)な8分音符。テナーとピアノでリードし、ベースは2分音符や4分音符中心に弾いている気がします。ドラムは何をやっているか不明。コルトレーンが最初の音を吹いていないのはご愛敬。
イントロ

Aに入り、ノリはスウィング(4ビート)になりますが、キメキメです。
A-A'

Bはスウィングです。何もシカケはありません。
B

3回目のAは1小節クッてVampに当たるCに入ります。Cの前半4小節は音量を下げて。テナーもオクターブ下を吹きます。後半は音量を上げてテナーもオクターブ上を吹きます。
A"-C

参考テイクでは、ブレイク後のピックアップでピアノ・ソロが始まります。続いてテナー・ソロからドラムスから始まる変則4バースとテナー・ソロを経て、Bからラスト・テーマに入ります。
油断しちゃって間違いがちなのが、エンディング。前テーマと同様にA-A-B-A-Cと進みますが、最後2小節でコーダに入り終わります。当初、ぼくの譜面はCODAを最後に書いていたのですが、みんなが(ぼくも含めて)見逃しちゃうので、テーマのすぐ後に変えてみました。
エンディング

3.いざ、セッションへ
以上を踏まえ、これをジャム・セッションで演奏してみましょう。イントロがあること、テーマとソロでコードと小節数が違うこと、A"の1小節クッてVampがあることなどを伝えましょう。あと、コーダを忘れそうになるので、念を押しておきましょう。イントロは均等な8分音符であることも言っておきましょうかね。
テーマのテナーは高い音ばかりなので、意外と難しいです。それでは、良きセッション・ライフを。