1.この曲について
Sonny Rollins(ソニー・ロリンズ)の1957年リリースのアルバム「The Sound Of Sonny(ザ・サウンド・オブ・ソニー)」から、Dale LibbyとSid Wayne作曲の「Mangoes(マンゴーズ)」を取り上げます。「Mango」の複数形なので「es」を付けます。
2.参考テイクについて
曲としてはA(8)-A(8)-B(8)-A(8)で32小節です。Aをラテンで、Bが4ビートという作りです。特に難しいところはありませんが、Real Book等には掲載されていないため、おそらくジャム・セッションで取り上げる人はレアだと思います。
ロリンズのディスコグラフィーによると、上記以外の録音はありません。
例によって、一口に「ラテン」と言っても幅が広いのですが、この曲の場合はジャズの世界で言うところの「ルンバ」、「ドンガラタッタ、トッカ・トッカ〜」てぇヤツです。ベースはそれに合わせて、以下のようなパターンが基本です。ボサノバ風の「ドーン・ド・ドーン」は合わないです。
ベースの基本パターン
ドラムスの8小節イントロから始まります。Aの最後2小節にキメと6拍のドラムス・フィルが入ります。
A

2回目のAも同じです。注意点としては、Bからスウィング(4ビート)になるのに気を取られて、早めに4ビートのノリになってしまわないこと。4ビートのノリになるのは、最後の2拍くらいからで良いかもしれないです。ついでに言うと、参考テイクをちゃんと聞くと、1回目のAからオクターブ上げて吹いているのが分かるでしょう。え?、気が付かない?
A'

Bはスウィングです。参考テイクではベースが2小節ほど、ラテンを続けてしまっていますが、ミスだと思います。良い子はマネしないで下さい。またラテンに戻りますが、これも最後の2拍くらいで戻れば良いでしょう。
B

3回目のAは1回目と同じです。
テナー・ソロに入り、1コーラス目はテーマと同じビート処理をしているようです。「ようです」というのは、明らかにロリンズはBを4ビートで吹いているにもかかわらず、リズム隊がラテンを続けているからです。2コーラス目からは4ビートにしています。ピアノ・ソロに移っても4ビートのままです。続いて、またテナー・ソロになり、どう処理するのかなぁと思っていると、半ば強引にラスト・テーマに入ります。あんまり打ち合わせしないで、始めちゃったのかしら、と思うような展開です。
この辺は決めておいた方が良いでしょう。ソロは全部4ビートにするのか、最初何コーラスかをテーマと同じにして4ビートにするのか、4バースをやるのか、やるんだったらテーマと同じ処理にした方が良いかなぁ、もしくはドラムス・ソロにするのか、でも、そうするとアタマを見失っちゃうしなぁ、などなど。色々、考えてみて下さい。
エンディングですが、参考テイクでは何か訳分かんない感じになっていますが、セッションでは回数を決めておいた方が安全でしょう。最後2小節を3回繰り返す(プラス2回するということ)なんてのが、いいんじゃないでしょうか。
3.いざ、セッションへ
以上を踏まえ、これをジャム・セッションで演奏してみましょう。まず、ドラムスに「ドンガラタッタ、トッカ・トッカ〜」のラテン・ベースであること、6拍フィルがあることを告げ、ソロのビート処理をみんなに伝えて、演奏を始めましょう。ドラムスのイントロで始めるのが良いですが、カウントは自分で出した方が良いです。ドラマーに任せると多くの場合、速くなります。
それでは、良きセッション・ライフを。