1.この曲について

Sonny Rollins(ソニー・ロリンズ)の1957年リリースのアルバム「The Sound Of Sonny(ザ・サウンド・オブ・ソニー)」から、Dale LibbyとSid Wayne作曲の「Mangoes(マンゴーズ)」を取り上げます。「Mango」の複数形なので「es」を付けます。

2.参考テイクについて

The Sound Of Sonny / Sonny Rollins Personal Score
Sonny Rollins (tenor sax)
Sonny Clark (piano)
Percy Heath (bass)
Roy Haynes (drums)

YouTube
Lead Sheet (C)
Lead Sheet(Bb)
demo audio file
Reeves Sound Studios, NYC, June 12, 1957

曲としてはA(8)-A(8)-B(8)-A(8)で32小節です。Aをラテンで、Bが4ビートという作りです。特に難しいところはありませんが、Real Book等には掲載されていないため、おそらくジャム・セッションで取り上げる人はレアだと思います。

ロリンズのディスコグラフィーによると、上記以外の録音はありません。

例によって、一口に「ラテン」と言っても幅が広いのですが、この曲の場合はジャズの世界で言うところの「ルンバ」、「ドンガラタッタ、トッカ・トッカ〜」てぇヤツです。ベースはそれに合わせて、以下のようなパターンが基本です。ボサノバ風の「ドーン・ド・ドーン」は合わないです。

ベースの基本パターン

ドラムスの8小節イントロから始まります。Aの最後2小節にキメと6拍のドラムス・フィルが入ります。

A

2回目のAも同じです。注意点としては、Bからスウィング(4ビート)になるのに気を取られて、早めに4ビートのノリになってしまわないこと。4ビートのノリになるのは、最後の2拍くらいからで良いかもしれないです。ついでに言うと、参考テイクをちゃんと聞くと、1回目のAからオクターブ上げて吹いているのが分かるでしょう。え?、気が付かない?

A'

Bはスウィングです。参考テイクではベースが2小節ほど、ラテンを続けてしまっていますが、ミスだと思います。良い子はマネしないで下さい。またラテンに戻りますが、これも最後の2拍くらいで戻れば良いでしょう。

B

3回目のAは1回目と同じです。

テナー・ソロに入り、1コーラス目はテーマと同じビート処理をしているようです。「ようです」というのは、明らかにロリンズはBを4ビートで吹いているにもかかわらず、リズム隊がラテンを続けているからです。2コーラス目からは4ビートにしています。ピアノ・ソロに移っても4ビートのままです。続いて、またテナー・ソロになり、どう処理するのかなぁと思っていると、半ば強引にラスト・テーマに入ります。あんまり打ち合わせしないで、始めちゃったのかしら、と思うような展開です。

この辺は決めておいた方が良いでしょう。ソロは全部4ビートにするのか、最初何コーラスかをテーマと同じにして4ビートにするのか、4バースをやるのか、やるんだったらテーマと同じ処理にした方が良いかなぁ、もしくはドラムス・ソロにするのか、でも、そうするとアタマを見失っちゃうしなぁ、などなど。色々、考えてみて下さい。

エンディングですが、参考テイクでは何か訳分かんない感じになっていますが、セッションでは回数を決めておいた方が安全でしょう。最後2小節を3回繰り返す(プラス2回するということ)なんてのが、いいんじゃないでしょうか。

3.いざ、セッションへ

以上を踏まえ、これをジャム・セッションで演奏してみましょう。まず、ドラムスに「ドンガラタッタ、トッカ・トッカ〜」のラテン・ベースであること、6拍フィルがあることを告げ、ソロのビート処理をみんなに伝えて、演奏を始めましょう。ドラムスのイントロで始めるのが良いですが、カウントは自分で出した方が良いです。ドラマーに任せると多くの場合、速くなります。

それでは、良きセッション・ライフを。


Last Update 01/03/2021 18:53 inserted by FC2 system