1.この曲について

Dexter Gordon(デクスター・ゴードン)の1966年リリースのアルバム「Gettin' Around(ゲッティン・アラウンド)」から、Dex本人作曲の「Le Coiffeur(ル・コワフェウ)」を取り上げます。「美容師」の意味です。「ル・コイフェウ」と発音する方もいますが、フランス語なので「oi」は「オワ」と発音するので、「ル・コワフェウ」の方が近いと思います。

2.参考テイクについて

Gettin' Around / Dexter Gordon Personal Score
Miles In Berlin
Dexter Gordon (tenor sax)
Bobby Hutcherson (vibes)
Barry Harris (piano)
Bob Cranshaw (bass)
Billy Higgins (drums)

YouTube
Lead Sheet (C)
Lead Sheet(Bb)
Lead Sheet(Eb)
demo audio file
Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, May 28, 1965

収録アルバムは2回目の登場ですね。既に「Heartaches」で取り上げた1965年5月27日〜29日の3日間セッションの中日、28日の1曲目として録音されたようです。曲としてはA(8)-A(8)-B(8)-A(8)で32小節ですが、テーマとソロのコード進行と小節数が違う、テーマに簡単なキメがある、テーマの後にヴァンプのような中間部がある、などと中々にセッションでは扱いづらい曲です。

Dexのディスコグラフィーによると、後にも先にも上記セッション1回のみしか録音していません。数多いライブ録音にもありません。Dex本人もライブで演奏しない曲をセッションでやるなんて、なんて物好きなんでしょう(>自分)。

ビートは終始ラテンです。ボサノヴァやサンバではなく、「ラテン音楽」という意味での「ラテン」です。専門的はよく分からないのですが、ルンバとかチャチャチャとか、そんな感じ。まあ、最悪、ボサノヴァでも良いですけどね。スウィング(4ビート)にはしない方が良いと思います。

イントロなしに、いきなりテーマから入ります。A-A-B-Aですが、最後のAを2小節クッて8小節のヴァンプという構成。2回目のAの最後に音を止めないブレイク。ぼくはサスティン・ブレイクなんて呼んでいます。

2回目A-終わりの音を止めないブレイク

続いてのB。mへのII-Vなので、通常ならばm7-5 - 7となるところを、敢えてm7 - 7としています。m7の次は7ではなく、F♯m7-5にすることで、マイナー感を維持しているように思います。構成音は殆ど同じですが、ベースがF♯を弾いているので。最後の2小節は、1拍半ずつのキメです。

B

3回目のAは、6小節まではこれまでと同じで、2小節クッてヴァンプのような8小節。完全にブレイクして、バックはリズムを合わせます。最後の2小節でピックアップ・ソロに入ります。ちゃんとブレイク出来るかなぁ?

3回目のAからヴァンプ

ソロは32小節になります。テーマでやったキメは全てやらなくて良いと思います。

ラスト・テーマは前テーマと同様に演奏して、一番最後だけ、ブレイクせずに伸ばして終わります。譜面上は省略しちゃいましたが・・・

エンディング

3.いざ、セッションへ

以上を踏まえ、これをジャム・セッションで演奏してみましょう。まず、テーマとソロで、コードも小節数も違うことをしっかりと伝えるべきです。意外と聞いていない人が多いので、2回くらい言っても良いです。A'の終わりのふんわりブレイク、Bの終わりの1拍半、A"の2小節クッてのキメ、ラストは伸ばす、などなどを簡潔に伝えてから、演奏を始めましょう。

それでは、良きセッション・ライフを。


Last Update 01/03/2021 18:52 inserted by FC2 system