1.曲の説明
不世出のトランペッター、Clifford Brown(クリフォード・ブラウン)作曲のSandu(サンドゥ)は、1955年に録音されたアルバム「Study In Brown」中の1曲です。とても「ジャズらしい」曲なので、取り上げてみました。
曲としては、E♭のブルースなんですが、テーマのアレンジがしっかりしており、かといって「Walkin'」や「Two Bass Hit」のように混み入ってもいない、初見でも演奏出来る楽曲です。
何しろトランペットとテナーサックスのアンサンブルが美しい。ペットとテナーは音域が離れているせいか、ユニゾンで演奏しても、とっても「サウンド」します。これがペットとアルトだと音域が近すぎて、イマイチ、サウンドしません。多くの2管クァルテットが、ペットとテナーのコンビなのは頷けます。ちなみに、テナーとギターも不思議と「サウンド」します。
この曲は「New Real 1」にも収録されているので、それで演奏される方も居るかと思いますが、その楽譜が見づらい。
New Real Book 1(pdfは
こちら)
最初の段がアウフタクトを入れて4小節、つまり3小節目で次の段に移っています。そのまま1小節ずつズレていき、その結果、9小節目からのペダルのキメが段の途中から始まっていて、分かりずらくなっています。この譜面の場合は、ソロ・パートが別に書かれているので、まだマシですが、やはり音楽の区切りである4小節ずつ書くべき(アウフタクトがある場合はその小節を入れて計5小節)と思うわけです。
こう書いてある方が見やすいでしょ?
ぼくの譜面

2.曲のキモ
一も二もなくテーマに尽きます。フロントはしっかりと練習しておきましょう。1〜8小節は普通にスウィングで、4ビートがいいですね。馬鹿の一つ覚えで「テーマは2ビート」としない方が良いでしょう。9〜12小節は、ペダル・ポイントとリズムを合わせ、12小節目はブレイクです。稀にブレイクの時に音を出す人が居ますが、良い子はマネしないでね。
2コーラス目も同様です。11〜12小節をブレイクして、最初のソロイストのピックアップ・ソロです。ピックアップ・ソロは見せ場ですから、くれぐれも他の人は音を出さないように。さらに、間違ってもピックアップ・ソロを入り損ねたりしないように。
ところで、通常、ブルースの場合はテーマを2コーラス(12小節×2)ずつ、頭と後ろに演奏します。一方、歌モノスタンダードは1コーラス(32小節が殆ど)ずつ演奏します。Recorda Meは2コーラス(16小節×2)ずつ演奏します。そういえば、Blue Bossa、MoritatやSt. Thomas、Doxyも2コーラスずつ演奏しますねぇ。何か、法則性や決まりがあるのでしょうか。
ぼくはそんなことを考えたことがなく、自分が聴いてきた演奏通りに1コーラス、2コーラスを使い分けていました。ある時、初心者の方がMoritatのテーマを1コーラスしか吹かなかったのを聞いて、確かに法則や決まりがあるわけでなし、黒本にも「この曲はテーマを2コーラス演奏します」と書いてあるわけじゃなし、知らない人は出来なくて当たり前だな、と思ったものです。
敢えて法則のようなものとして、「1コーラスの小節数が少ない場合は2コーラス演奏することが多い」と言えるかも知れない。皆さんはどうお考えですか?
4.エンディング
ペダル・ポイントからのシンコペーションでフェルマータ。
5.いざ、セッションへ
以上を踏まえ、これをジャム・セッションで演奏してみましょう。トランペットとテナーサックスの2管で演奏することを強くお薦めします。イントロはナシでカウントで始めて、最初から4ビートでやるのがいいでしょう。先発ソロをどちらが取るかくらいは打ち合わせておいた方が良いかもしれません。