1.曲と参考テイクの説明

Frederick Loewe(フレデリック・ロウ)作曲のAlmost Like Being in Love(オールモスト・ライク・ビーイング・イン・ラブ)です。フランク・シナトラやナット・キング・コールの歌が有名らしいです。A(8)-A(8)-B(8)-A(12)の36小節で1コーラスで、標準的な曲より4小節多いのが特徴。黒本とNew Real book3に載っていますが、どちらもキーはB♭(変ロ長調)。楽器で演奏する曲は、キーが一つに固まることが多いのですが、この曲はバラバラです。ぼくが知ってるところをざっと表にするとこんな感じ。

Leader Album Title Year Key
Charlie Parker Night And Day: The Genius Of Charlie Parker #1 1952
Lester Young with the Oscar Peterson Trio 1952
Sonny Rollins with the Modern Jazz Quartet 1953 E♭
Red Garland Red Garland's Piano 1957 E♭
Art Blakey & The Jazz Messengers Play Lerner and Loewe 1957 B♭
Chet Baker Plays The Best Of Lerner And Loewe 1959 B♭

特にコレ、っというものがないのがキーがバラつく理由なのかしら。

今回、参考にするのは、またこちら。まるでロリンズ・マニアのように思われるかも知れませんが、誤解のないように申し添えておくと、ぼくはロリンズが嫌いです。ロリンズ嫌いが敢えて勧めているわけだから、間違いないでしょ?

with the Modern Jazz Quartet / Sonny Rollins Personal Score
with the Modern Jazz Quartet / Sonny Rollins
Sonny Rollins (tenor sax)
Milt Jackson(vibes)
John Lewis (piano)
Percy Heath (bass)
Kenny Clarke (drums)

YouTube
Lead Sheet (C)
Lead Sheet(Bb)
Rollins' Solo(Bb)
Lead Sheet(Eb)
midi file
demo audio file
 
NYC, October 7, 1953

1953年10月7日録音のテナー + MJQによる演奏です。キーはE♭(変ホ長調)。

2.参考テイクのツボ

特にないのですが、敢えて挙げれば、コード進行の相違。キーをE♭に直した黒本とNew Real Book Vol.3のコード進行を載せます。

Black Book NewRealBook3

些細な違いはありますが、だいたい一緒です。唯一、決定的に違うのが、Bの最後。黒本の方は「スムーズに繋げました」みたいに見えますが、ポイントが曖昧というか、トーナリティーがm(ハ短調)である時間が短く、次のサブ・ドミナントであるA♭にも繋がっていないという残念な進行になっています。一方、New Real BookはCmのトーナリティーを維持している感じで、次のA♭にも半音進行で繋がっている進行です。

ロリンズの演奏を聴いてみると、mのトーナリティーを維持しつつ、次のA♭にスムーズに繋げる工夫が見られます。音源を聞いてみましょう。

最初のテーマのBの2段目Theme
テナーソロのBの2段目Tenor Solo
テナー譜で
Tenor Solo
バイブソロのBの2段目
ピアノソロのBの2段目

ベースラインやピアノのコンピングからコード進行を割り出してみるとこんな感じ。

Chord Progression

m7は ベースがA(ラ)を弾いていて、ピアノがA♭(ラ♭)を弾いていてm7-5にも聞こえます。最後はA♭に繋げるために、B♭m7-E♭7にしています。ぼくはこれを採用したい。これを踏まえたリード・シートがこちら。

Theme

3.いざ、セッションへ

エンディングをどうしましょうか。ロリンズはストレートにそのまま吹いて終わっています。Ⅲ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴで伸ばしても良いですが、A"の最後8小節を繰り返してもいいですね。その際には演奏前に伝えておいた方が良いです。


Last Update 01/03/2021 18:36 inserted by FC2 system