1.アフロビートジャズの世界ではよく「Aはアフロビートで」なんて言いますが、果たして「アフロビート」って何?と聞かれると困るかもしれない。本来は「アフロ・キューバン・ビート」というのが本当らしいのですが、そもそも「アフロ」というのは「アフリカ出身の」という意味だし、アフリカとキューバじゃあ、全く関係ない。もうぐちゃぐちゃ。 アート・ブレーキ−なんかが叩いてたのが有名ですが、今、あれをまじめに叩かれるとちょっと恥ずかしいかも。 要は4ビートとは違うビート、ということがポイントなのであり、特に「アフロ」にこだわる必要はありません。前に紹介した「チェキチェキ」ビートでもいいのです。 2.ビートの切り替えこの曲もそうですが、全編アフロビートということは少なく、アフロ・ビートと4ビートが交互に登場します。同様の例としては「On Green Dolphin Street」や「I'll Remember April」などがあります。 サンバのところでも述べましたが、「ビートが切り替わるところが気持ちいい」というのがポイントです。特にドラムス、ベースは、いかにスムーズにビートを切り替えるかで、腕の善し悪しが測れます。ビートを切り替える1〜4拍前に準備フレーズを挟むのがコツです。 例えばアフロから4ビートに移行する場合、下記のようにベースが一拍挟むだけでもスムーズになります。一拍早く4ビートに移行しているとも考えられます。 ドラムも1〜4拍前に4ビートオカズを叩けばスムーズになるでしょう。 また、アフロから4ビートに移行する場合も同じように1〜4拍前に準備フレーズを挟みます。下図のように一足お先にアフロに突入するとバンド全体としてスムーズにサウンドするでしょう。 唐突に切り替えるのはイモです。切り替え忘れて、アタフタするのは言語道断です。 3.曲について「夜は千の目を持つ」通称「よるせん」はA(16)−A(16)−B(16)の48小節でワン・コーラス。Aの前半8小節をアフロにして、後半8小節から4ビートにします。Bは全部4ビートにします。 Aの後半8小節のアタマでよく用いられるのは、いわゆる「マッコイ・パターン」と呼ばれるものです。 ベースは4分音符でランニングしますが、ピアノとドラムでリズムを合わせます。アタマのルート+5度は省略する場合もあります。 コルトレーン先生の「Impressions」でお馴染みのパターンですね。マッコイがピアノを弾くことを想定して、このパターンを曲の中に織り込んだものにウェイン・ショーターの「Yes Or No」という曲があります。いつか取り上げてみたい曲です。 毎コーラスではしつこいかもしれませんが、テーマではこれをやってみましょう。 アドリブのビートについては以下のようなパターンが考えられます。
などなど、いろいろありますが、ここではテーマと同じビート・パターンで押し通しましょう。 イントロとしてアフロビートでGmaj7-Am7を何回か繰り返して、テーマ、テナーソロ、ピアノソロ、あとテーマに続けてエンディングに入りましょう。エンディングはマッコイ・パターンを応用したものです。 4.参考演奏あまりに有名な曲なので、ストレートな演奏がなかなか見つからず、図らずもまたレアな音源を。ピアノのBen Besiakovとかいう人のリーダー・アルバムです。ぼくはガゾーン目当てで買いました、言うまでもなく。 テーマからソロまで全コーラスをアフロと4ビートで処理しています。Aの前半4小節はドミナントであるDのペダルにしています。こういうのもアリです。
マッコイ・パターンの参考例として、先に紹介した「Yes Or No」も載せておきます。
5.データこの回で紹介したデータをまとめておきましょう。
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