テーマ |
演奏前に決めておくこと |
曲 |
I'll Close My Eyes |
1.演奏する前に
ジャズといえども曲を演奏する前に、最低限の約束というか打ち合わせておくことがあります。
テンポは非常に重要です。速いか遅いかで曲の雰囲気が変わりますし、ちょっと速いだけで練習で出来ていたことが出来なくなったりします。
カウントを出して、演奏を始めたはいいが、ちょっとテンポが違った、ということはよくあります。また、ステージなどで演奏する時にその場でテンポを決めると、得てしてテンションが上がっているため、テンポが速くなりがちです。いくら練習で上手くまとまった演奏が出来ていても、テンポが速かったためにボロボロの演奏になってしまう、という例はいくつも見てきました。ぼくのバンドでは練習の時にテンポを決めておいて、本番ではメトロノームでカウントを出すようにしています。
また、テンポ・キープも重要です。いわゆる「ハシる」、「モタる」は避けたいものです。「人間が演奏するんだから、多少ハシるのはやむを得ない」とか、「モタるよりはハシるほうがマシ」みたいな言い訳はよく聞きますが、テンポをキープするのが基本です。個人的にはハシるよりはモタる方が多少マシかなと思いますが。
リズム、ビートというのは平たく言えば、4ビートなのか、ボサノバなのか、サンバなのか・・・ということ。
スタンダードではだいたいキーが決まっていますが、ブルースではキーを何にするか、決める必要がありますね。常にFブルースとは限りません。
もっと細かく言えば、決めておきたいことはまだあります。
- イントロはどうするのか
- テーマは2ビートなのか、4ビートなのか。A−A−B−Aの曲で、Aは2ビート、Bを4ビートにするのか
- テーマでブレイクして、ピックアップでソロを始めるのか
- ソロの順番をどうするのか、ベースソロはあるのか、4バースをやるのか
- 後テーマは前テーマと同じに処理するのか
- エンディングをどうするのか
などなど、言い出したらきりがない。
2.曲について
この曲は初心者でもとっつきやすい曲でもあるし、コード進行も関係調への転調(FからDm)あり、4度上へのII-V(Cm7-F7)あり、4度−4度マイナー(B♭-B♭m)あり、3度へのII-V(Bm7-5-E7)ありと、定跡と言えるパターンの連続でもあり、アドリブの教科書とも言える曲です。
通常、この曲はミディアムテンポの4ビートで、キーはFで演奏されることが多いです。
ちなみにジャズではキーFというのは全楽器に優しいキーとされていて、多くの曲があります。もちろん、原曲はいろんなキーだったりするんですが・・・
今回は
- テンポは
で - テーマは2ビート、ソロは4ビート
- ソロ・オーダーはテナー、ピアノ、ベース、4バース
で演奏しましょう。
エンディングのパターンは色々ありますが、ここではFで終わるところをAm7-D7(III-VI)で引き延ばして、4小節プラスして終わりましょう。

3.参考演奏
手持ちの音源ではこれしかありませんでした。しかもキーはA♭。Fで演奏するのは日本だけなのかしら? この手のジャズのベースはポール・チェンバースだけ聞いていればいいでしょう。アルコでギコギコやんなければ完璧なんだけど(^_^;)。ウィントン・ケリーもこの時代を代表するピアニストの一人ですが、ややクセがあるかも。ペットの人はよく知りません。
ただ、別にこのアルバムが聞く価値があるわけではないですから、念のため。
Star Bright / Dizzy Reece |
Blue Note 84023 |
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Dizzy Reece trumpet
Hank Mobley tenor sax
Wynton Kelly piano
Paul Chambers bass
Art Taylor drums |
1959年11月9日録音 |
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4.データ
この回で紹介したデータをまとめておきましょう。
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