1.この曲について
1959年にブロードウェイで公演されたミュージカル「Redhead」中の1曲です。「オレの女はオレに丁度いい」なんていう、今だとちょっと・・・なタイトルです。Albert Hague作曲、Dorothy Fields作詞。主役にGwen Verdon(グウェン・ヴァードン)、相手役にRichard Kiley(リチャード・カイリー)で上演されました。
オリジナル演奏はこちら。オリジナル・キャストで録音されたアルバムから、相手役のTom Baxterを演じたRichard Kiley(リチャード・カイリー)によるボーカルです。
公式な譜面もアップされていました(いいのかしら?)。
ジャズの世界でそれほど多く演奏される曲ではありませんが、Stanley Turrentine(スタンレー・タレンティン)は3度(正確には4度)録音しています。
彼のディスコ・グラフィーによると、一番古いのは1960年初め録音のこちら。
今回は主にこのテイクをベースにしています。この前月、1960/12/18に録音されたテイクはお蔵入りして、聞くことが出来ません。
もう一つは1964年に録音されて長らくお蔵入りの後に1980年にリリースされたこのアルバム。
図らずもぼくのタレンティン好きがバレてしまいました。ちなみにTurrentineの発音は「タレンティン」なのか「タレンタイン」なのか、自信がありません。
2.曲の構成
全体的に綺麗なコード進行で、サビ(B)への短六度上(F(ヘ長調)→D♭(短ニ長調))への転調が珍しいかも。
オリジナルの録音および譜面は1コーラス歌い切りなので、これをそのまま演奏するのかという問題が生じます。Stanley Turrentineは先に挙げたテイク全てで、テーマもソロもA(16)-A'(16)-B(16)-A"(20)で演奏しています。ただ、ソロは1コーラスしか演奏していないので、複数コーラス演奏する場合にどうしたのだろうか?という疑問は残ります。
Comin' Your WayのA"テーマを譜面にするとこんな感じ。赤枠の部分がコーダ的に引き延ばされたと考えられます。
ジャム・セッションではこの余計な4小節がウザいので、カットすることを提案します。どうせ、誰も知らない曲なんだから・・・
編集したA"テーマ
この結果、A(16)-A'(16)-B(16)-A"(16)という、ごくごく普通の64小節の曲になりました。カットした4小節は、曲の最後にコーダとして演奏する譜面にしています。
曲の最後のA"テーマ
3.その他諸々Turrentineの工夫
ジャム・セッションで採用するかどうかは別にして、Turrentineがいろんな工夫をしていますので、それを紹介しておきます。
(1)イントロ
まず、Comin' Your Wayでのイントロがカッコ良かったので、譜面と音源を載せておきます。
ピアノにイントロを弾いてもらうことも多いでしょうが、毎回、毎回弾かされる方は大変だろうな、と思います。時にはこうした、アンサンブルのイントロも良いかも。でも、打ち合わせが面倒か・・・
(2)A、A'、A"のターンバック
3テイクとも、A、A'、A"のターンバックに工夫が見られます。1つ目のAはこんなコード進行。
Fmaj7→F+5/A→B♭maj7→E♭7→C7/Eで、F+5/AはB♭maj7に進行するためのコード、最後のC7/Eはテーマだけでソロに入ったら省略されます。
このターンバックは3つ目のA(A")でもやっているみたい。ピックアップ・ソロのフレーズから感じられます。
2つ目のA(A')ではこんなコード進行にしていました。
ソロでも毎回、このターンバックを使っていました。
(3)Turrentineのテーマ譜
せっかくなのでTurrentineのテーマ譜も載せておきます。イントロ付きです。
7.いざ、セッションへ
以上を踏まえ、これをセッションで演奏してみましょう。
1コーラスが長いので、バースをどうするか悩ましいですが、A-A'の32小節を4バースやって、Bからテーマに戻るとしても良いでしょう。
それでは、良きセッション・ライフを。