1.曲と参考テイクの説明
Al Hoffman(アル・ホフマン)作曲のHeartaches(ハートエイクス)は、1931年に出版された楽曲です。楽器での演奏事例が極めて少なく、そのせいか黒本やReal Bookに載っていません。必然的にジャム・セッションで演奏することは稀でしょう。ただ、曲としては、A(8)-A(8)-B(8)-A(8)の32小節で1コーラスの、普通の「唄モノ」で、コード進行もシンプルで、良い曲(これが一番重要)なので、取り上げました。この曲を知ったのはこのアルバムです。
1965年5月29日録音のクインテットによる演奏です。デックス(デクスター・ゴードンの愛称)のディスコグラフィーによると、前日の5月28日のセッションと合わせて、上記アルバムが作成されたそうです。さらにこの前日の5月27日に、ボビー・ハッチャーソン抜きで録音したセッションは後年、「Clubhouse」として、リリースされました。当時、Dexはデンマーク在住で、これらのレコーディングのために渡米したと思われますが、3日間でアルバム2枚分を収録というハード・スケジュールにも関わらず、ハイ・クオリティな演奏です。
Dexは3ヶ月後のコペンハーゲンでのライブでもこの曲を演奏していました。
Jazzhus Montmartre(ジャズハス・モンマルトル?)はコペンハーゲンの有名クラブらしく、Dexは頻繁に演奏し、その模様がラジオで放送されていたようです。その際の録音がCD化されたおかげで、貴重な演奏をこうして聞けるわけです。
2.参考テイクのツボ
こんな感じのイントロで始まります。別にこの通りでなくても良いですが、軽快なニュアンスが出る方が良いですね。
イントロ
テーマはこんな感じでしょうか。原メロディーを推測して書いています。
テーマ
Dexは3小節目と6〜7小節目のコードを以下のようにⅡ-Ⅴにしています。ソロの時も同様にⅡ-Ⅴにしています。A'のA7も同様に。但し、A'のA♭7-G7はⅡ-Ⅴにしません。この辺は趣味でどちらでも良いと思います。
ちなみに1回目のBの最後もテーマでは以下のように演奏しています。ソロの時にはCm7-F7ですが。敢えてここまでマネする必要もないかと思います。
エンディングはお決まりのⅢ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴで引き延ばしています。但し、セッションで延々とヤルとイヤがられるのでご注意を。
3.いざ、セッションへ
以上を踏まえ、これをジャム・セッションで演奏してみましょう。おそらく何の説明もなしにいけると思います。