Yoko Minamino Toiki de Net score
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第6話:南野陽子の「吐息でネット」

はじめに

ズージャでGO!でも取り上げたのに、またか。もしかして本当に南野陽子ファンなのか?」と思われそう。ジャズ・ボーカルはルックスで選ぶが、「ぽっぷす・てぃっぷす」は楽曲で選んでおる。元ちとせやMisiaを選んでるでしょ? (^_^;)←問題発言!

この曲には「ズージャでGO!」で紹介した以外にもおいしいところが一杯あるんじゃ、本当に。

南野陽子ちゃんは同期にミポリン、本田美奈子、斉藤由貴などがいる、アイドルの当たり年とも言える1985年にデビュー。「吐息でネット」は1988年の曲です。タイトルは故岡田有希子ちゃんの「くちびるNetwork」にも通じる来るべきネットワーク時代を先取りしたものとも思われ...ん?、もしかして「網」のことだったりして。「そっとしばりたい」じゃからね。

なんていうおバカな話はこのくらいにして、早速始めよう。

構成

8小節のイントロに続き、A(8小節)−A’(8)−B(10)−C(8)−C’(10)の44小節が1コーラス。間奏の8小節に続き、もう1コーラス、間奏の4小節のあと、B−C−C’と進んでエンディング。MIDIの方はフル・コーラスを収めています。譜面にはリピート記号を多用して唄の部分だけを載せました。

ポイントその1

Aの冒頭、ベースがGから半音ずつ下降してくるところ。トニックのMaj7から半音下の7thというコード進行自体、そんなに多く登場しないが、それをさらに推し進めてもう2音、半音下降する。3番目を普通にBm7-5にすると素直なII-Vに過ぎないし、サウンド的にもそんなに変わるとも思えない。

でも実はこの半音進行は「クリシェ」とも言えるほど有名な進行なんじゃ。ふゅ〜じょんの世界にはマイク・マイニエリさんの「I'm Sorry」という曲がある。

こちらはさらにもう2音、半音下降している。

これらの半音下降がII-Vなどのルートを変えることによって実現しているのに対し、本当にコードが半音下降するパターンも同じように有名。代表曲はグロバー・ワシントン・ジュニアの「Just The Two Of Us」の間奏かしらん。

2小節ずつ転調することになってしまうため、なかなかメロディー・パートで使うのは難しいじゃろうが、イントロや間奏ではよく登場する。わしがこの進行を知ったのは「イオナ。わたしは美しい。」のCMソングじゃったが...(誰も知らねえ〜)

ポイントその2

サビの手前、Bの部分じゃ。

最初の4小節はキーが(ト長調)じゃが、5〜6小節はキーがBb(変ロ長調)に転調する。これ自体は短3度上への転調ということで、特に珍しくはないが、ここからへ戻る細工が巧妙だと思うんじゃ。

Am7/DD711の3度抜きとも言えるコードでドミナント、ドミナントしたくない場合に使う定番コード。Em7-5Ebmaj7Am7/D」ではルートの半音下降がこの進行のエンジンであるが、Gm7からEm7-5への進行というのもよくあるパターン。

ポイントその3

最後は「ズージャでGO!第3部第6話」でも説明した、サビ前のコード。4度、この場合はCmaj7の半音上の7thコードというやつじゃ。実はこのコードはポイント1で紹介した「I'm Sorry」の8小節目にも登場している。「吐息でネット」は「I'm Sorry」のパクリ?(笑)

この半音上7thは3度も5度も外して、9th,+11thを加えるのがポイント。ピアノのボイシングとベース・ラインはこんな感じ。

最後に

この時代のアイドルものは結構、曲作りも気合いが入っていて、よく考えられている。ナンノ・ファンもそうでない方も改めて聞いてみると、新たな発見があるかも。「NANNO-Singles(CBS/SONY 32DH 5021)」がお薦め。

言っときますけど、わしはナンノ・ファンではありましぇんからね。「本当?」なんて疑ってるあなた、本当だってば。わしはミポリン・ファンなのじゃ!

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