2002年11月 3日更新
タイトル・ロゴ第3部
これは千葉県浦安市に住む島袋 ひろ子(OL 25歳 仮名)が、一念発起しジャズ・ピアノを始め、上達していく物語である。
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第10話 楽器にこだわれ!
〜アドリブで一番大切なこと〜
久しぶりのジャム・セッションですが、なぜか浮かぬ顔のひろ子。さてさて、そのわけは...
五反田: ひろ子くん、どうしたんじゃね、元気がなさそうじゃが。
ひろ子: 博士、今さら言うのもなんなんですが、ジャズって難しいですね。

これまで、博士にいろいろ教わってきて、それこそ「ブルーノートだけで演奏する」から始まって、「II-V-III-VIでエンディングを伸ばす方法」や、最近ではコンディミやウラコードの使い方からGiant Stepsのコード進行の秘密やら、いろんなことを教わりました。

五反田: そうじゃった、そうじゃった。
ひろ子: 「耳を鍛えろ」と言われてコピーの重要性を教わってから、いろんな楽器のおいしいフレーズを片っ端からコピーして、自分のソロに活かそうとしてきました。今も続けてますけど...
五反田: 「ひろ子のネタ帳」というノートじゃったな。いろんな楽器のいろんなソロがびっしり書いてあって驚いたよ。
ひろ子: でも、最近、ちょっとサボリ気味なんです。CDとかを聞いてるといっぱいいいフレーズがあって、片っ端からコピーするんですけど、いざピアノで弾いてみるとピンとこなかったりするので...
五反田: ついにひろ子くんもその域に達したか! 「第3部第5話」で「アドリブのアプローチ」ということを説明したじゃろう。
ひろ子: ソロを組み立てる上での考え方ですね。音と音のインターバルに注目するとか、コンディミなどのスケールに注目するとか、半音上から攻めるとかリズムに注目するとかを教わりました。
五反田: もう一つ、とても大事な、そして基本中の基本のアプローチを教えなかったんじゃ。
ひろ子: もう、いつも肝心なことは最後なんだから!(`ヘ´) プンプン。
五反田: いやいや、ひろ子くんが理解出来ようになるのを待っておったのじゃよ。

最後に教えるアプローチは「楽器に注目する」じゃ!

ひろ子: またまた、禅問答のようなお答えで(^_^;)
五反田: つまり、ピアノにはピアノならではの、サックスにはサックスならではのフレーズがあるということじゃ。

もちろん、違う楽器で弾いたフレーズを自分の楽器で弾いてみることは楽器や自分のテクニックを広げる可能性があるわけだし、なぜ格好良く聞こえるのかを分析することは非常に重要じゃ。

それを踏まえた上で、やはりそれでも楽器によってハマるおいしいフレーズというのがあるということじゃ。

ひろ子: 決してピアニストだからピアノだけ聞けばいいと言ってるのではない、ということですね。

でも、楽器によってハマるフレーズってどういうのかしら....

五反田: それには楽器の特性や利点、いわゆる「ウリ」を生かすことを考えるのじゃ。例えばひろ子くんが考えるピアノの「ウリ」な何だと思うかね?
ひろ子: ピアノの利点と言えば、1.和音が弾ける 2.音域が広い ん〜と、あと3.打楽器でもある!
五反田: いい線いってるのう。チック・コリアの「Spain」で実例を見てみよう。
ひろ子: イントロが「アランフェス協奏曲」の曲ですね。テーマはこんな感じです。
楽譜を別ウィンドウで見る

長いテーマですね。主メロディがどれなのかよくわかりません、AなのかCなのか...

五反田: Aは前フリみたいな感じかのう。Cが主メロディと考えていいじゃろう。アドリブもCのコード進行で取っている。

この中で例えばこんなのがピアノらしいフレーズじゃな。

下のラから2オクターブ上のラまで、音を贅沢に使っておる。音域が狭い管楽器などではこんなフレーズは逆立ちしても出来ない。

ひろ子: 音域の広さではこっちも凄いですよ。3小節目なんか、上のミから1拍づつ、オクターブづつ下がって、3オクターブ下のミbまで降りてます。

五反田: さっき、ひろ子くんが「ピアノは打楽器でもある」と言ったがまさにその通りで、特にコリアはこういうのが得意じゃ。

ひろ子: チック・コリアってドラムも上手いですよね。
五反田: こんなフレーズもピアノならではじゃ。「和音が弾ける」にも通じるが、ノリノリのフレーズから和音一発でソロを締めくくる技じゃ。

和音をガーンと弾くことによって音楽全体をコントロールしてしまう。

ひろ子: A7のところですね。本当、いっぺんに「ソロ終わり〜」と宣言しています。
五反田: 滅多に使えるものじゃないが、こういったフレーズを交えることも時には必要じゃ。楽譜にするのはちと厳しいが、ニュアンスは分かるじゃろ?

ひろ子: 両手の人差し指一本で駆け上がっていくフレーズです。ライブなんかでは盛り上がるかも知れないです。
五反田: もちろん、エレピじゃなくてもアコースティック・ピアノでも使えるぞ。さらにこんなのもある。

この手のフレーズはどんな曲でも使えるぞ。

ひろ子: げんこつを転がして弾いてるみたい。

でもこんなフレーズばっかりじゃ音楽にならないでちゅう(^_^;)

五反田: 確かにこればっかりじゃしょうがないが、こういう遊びの要素もジャズには必要だということじゃ。

さて、ピアノの利点ばっかり見てきたが、逆に弱点はなんじゃろう。

ひろ子: そうですねえ、1.音が延びない 2音色の変化が少ない あと、サックスなんかを聴いてて思ったんですが、小さく吹き始めてボーって音を大きくする、あれが出来ないです。(^_^)v
五反田: (笑)こういうやつじゃな?

確かにこれはピアノじゃ無理じゃ。

ひろ子: もう一つ、浮かびました。自分の楽器を持っていけない(>_<)。

博士がサックスを肩に担いでるのが、羨ましかったです。ピアノっていつも他人の楽器を弾いてるんですよ。私も自分の楽器を演奏したい〜。(;_; )( ;_;)

五反田: やっぱり、弾き慣れてるピアノの方がいいじゃろうしな。ピアニストも悲しい宿命を背負っていることじゃな。

まあ、やっぱり一番の弱点は「音が延びない」に尽きる。これは「打楽器でもある」ことの裏返しであるわけで、「ないものねだり」なんじゃが、これはフレーズやソロのアプローチに決定的な影響を与えるんじゃ。

例えば次のようなグリッサンドからロング・トーンみたいなフレーズはピアノでは不可能なのじゃ。

ひろ子: あー、「Friday Night At The Cadillac Club」ですね。シャッフル・ビートとオルガン・サウンドがベスト・マッチ!
五反田: もちろん、グリッサンドはピアノでも可能だし、ロングトーンの代わりにトリルで攻めるという手がないでもない。

ひろ子: ニュアンスは伝わりますが、やっぱり違うサウンドになってしまうのは致し方のないところでしょうか。

あ、そうか! たまに博士がバンドで「この曲はオルガンでやってみなさい」と言ってたのはそういうことだったんですね。ピアノとオルガンは見た目は同じ鍵盤楽器ですけど、演奏方法もアプローチも全く違う楽器だったんですね。私なんか、オルガンもピアノと同じ感覚で弾いてしまってました。音を伸ばすって、快感です!

せっかくですから、「Friday Night At The Caddilac Club」を聴いてみましょう。

ところで、サックスの「ウリ」っていうのは何なんですか?

五反田: まあ、サックスと言わず、広く管楽器という観点ではさっきのピアノの弱点がそのまま利点になるじゃろう。「音を延ばせること」「音色の変化が大きいこと」さらには「楽器を持ち運べること」も含めて、管楽器の「ウリ」なんじゃ。だからこんなフレーズが可能になる。

ひろ子: 音を出した後、ビブラートをかけたりすることも出来るんですね。
五反田: 一方、一つのフレーズを半音上げたり下げたりするのがかなり難しい。もちろん、ピアノでもそれなりに難しいじゃろうが、管楽器の場合は一音一音の運指が異なるので、キーが変わるととてつもなく難しい運指になったりする。だから次のようなフレーズは涙が出るほど難しいんじゃ。

さらにこれは「ウリ」になるのかなあ、特徴でもあるんじゃが、ピアノの場合、誰が弾いても音程が変わらんが、管楽器では「ド」という運指で音を出しても「ド」が出るとは限らない!

ひろ子: え〜、そうなんですかあ? 楽器なのに...
五反田: まあ、「ド」に近い音は出るんじゃが、正確な音程を出すためには息の強さ、ノドの開き具合、アンブシェアなどなど、いろんな要素を組み合わせる必要がある。
ひろ子: 管楽器って大変なんですねえ〜
五反田: まあ、それを逆手にとって、音を下にベンドしたり、しゃくり上げたりと音に表情を付けることが出来るわけで、「ウリ」の一つになるんじゃ。
ひろ子: サックスならではの「ワザ」みたいなものはないんですか?
五反田: いっぱいあるぞ〜。さっき「ドと言う運指で音を出してもドが出るとは限らない」といったが、本当に「ドと言う運指で音を出してもソやミやシが出る」んじゃ。
ひろ子: そういえば子供の頃、リコーダーで低いドを吹こうとしたらオクターブ上のドやソが出ちゃうことがありました。あれって私の吹き方が悪いせいだと思っていましたが...
五反田: それはオーバートーン(倍音)といって、実は音の基本理論とでもいうべきもので、ドと吹くとソが出るのは物理現象であるわけじゃ。
ひろ子: そうなんですかあ。あんまりよくわかんないですけど...
五反田: まあ、オーバートーンについて語り始めると長くなってしまうのでここでは省略するが、このオーバートーンを使ったワザはサックスならではの「ウリ」と言える。

こういうアプローチはジョン・コルトレーンに始まり、マイケル・ブレッカーを筆頭に、今や全てのサックス奏者が取り入れている。

ひろ子: 具体的にはどんなフレーズなんでしょうか?
五反田: オーバートーンのニュアンスはMIDIでは伝えづらいので、生音でお送りするが、単にスケールを上がるだけでこんなにインパクトのあるフレーズなる。

ひろ子: 象の鳴き声のような音色ですね。確かにインパクトある〜。
五反田: このフレーズを万人が使うかどうかは別にして、オーバートーンを応用した例としては、オルタネート・フィンガリングやフラジオ、重音(和音)奏法などなどいっぱいある。

わしがサックスを吹くときは、このような楽器の個性を引き出すようなフレーズを交えながら、ソロを構成しておる。

ところがじゃ、ジャズ界に唯一、楽器の個性を殺している楽器があるんじゃ。

ひろ子: あちゃ〜、最終回でその展開になりますか〜。ファンが去っていきますよ〜。

一応段取りで聞きますが、その楽器は何なんですか?

五反田: それは「ジャズ・ギター」という楽器じゃ。
ひろ子: あえて「ギター」ではなく、「ジャズ・ギター」と言う理由は?
五反田: 日本のジャズには「女性ジャズ・ボーカル」という音楽がある。「綺麗なお姉ちゃんがスタンダードをジャズ風に唄う」という音楽じゃ。「ジャズ・ギター」とは「箱ギターでソロはサックスのフレーズを、バッキングではピアノの真似をしてジャズ風の音楽を演奏する」、そういう音楽のことじゃ。
ひろ子: なんて、過激な...
五反田: そもそもギターという楽器の「ウリ」は何じゃろう?
ひろ子: そうですね、ロック・ギターのキュイ〜ンっていうチョーキングもカッコイイし、ジェフ・ベックみたいにアームを自由自在に使いこなすのもいいし、ピッキング・ハーモニクスも胸キュンでいいですね。やっぱり、あの歪んだ音が気持ちいいですよね。あと、アコスティック・ギターの開放弦の響きとかも好きです。
五反田: 今、ひろ子君が言ったギターの「ウリ」じゃが、一つも「ジャズ・ギター」にはないのに気づいたかね? 「ジャズ・ギター」ではチョーキングは御法度、というかそもそも弦が堅くて無理なのじゃが、箱ギターにはアームは付いてないし、そもそも音を歪ませるなんて言語道断なんじゃ。開放弦も滅多に使うことがなく、バッキングでもピックアップに近い、上の方でチャッチャッ弾いておる。
ひろ子: そう言われれば確かにそうですねえ。
五反田: そもそもギターは開放弦は一番、音が豊かじゃ。振動している部分が一番長いわけじゃから、倍音が一杯出て、豊かな音が鳴るんじゃ。それを使わないなんて、ギターという楽器を冒涜しとるというもんじゃ!

まだ「ギターを歪ませる」ことが一般的でなかった時代であれば、仕方ないこともある。例えばウェス・モンゴメリー独自にオクターブ奏法を編み出したり、弦を素早くスライドさせるとか、プリングオン・ハンマリングオフなど、ギターならではのワザをやっておった。アドリブ・フレーズもサックスの真似ではなく、ギターならではのプレイを旨とした。その意味でウェスはジャズ界における最初の「ギターリスト」であると言える。

また、ジム・ホールソニー・ロリンズ「ピアノじゃない和音楽器」として、「ギターでなければ存在価値がない」という立場で迎えられたし、ジョー・パスソロ・ギターの世界でギターにしか出来ない音楽を作り上げた。

ひろ子: それじゃあ、ジャズ界のギタリストは3人だけということになってしまいますが...
五反田: いやいや、今はいっぱいいる。ジョン・マクラフリン、パット・マルティーノ、パット・メセニー、マイク・スターン、ジョン・スコフィールド、リー・リトナー、ラリー・カールトン...え上げたらきりがない。
ひろ子: みなさん、ジャズ以外の音楽も演奏なさるような方みたいな気がするんですが。あまり「ジャズ・ギター」らしくないというか....
五反田: だから正しいのじゃよ。

考えてみたまえ! ギターが一番活躍する音楽はなんだろう? 

ロックにはギターは欠かせないよね。フォークやカントリー・ウェスタンでも主役だよね。フラメンコなんてギターしか楽器がないことが多い。つまりこれらの音楽ではギターは「なくてはならない」存在であり、それは楽器の特性や「ウリ」を最大限に発揮しているからだと言えるのではないか。

開放弦の響きを重視するからフォークやカントリーではオープン・チューニングたりするし、ギターをギターとして演奏するパット・メセニーは何の衒いもなくオープン・チューニングを使うし、ロックを聴いて育って「ギター・サウンズ」といえばジミヘンを思い浮かべてしまうマイク・スターンはノってきたらディストーションをグイと踏み込んでチョーキングを始める。

みんな、ギターという楽器の「おいしい」ところを最大限に生かしつつ、ジャズを演奏している、正統派ジャズ・ギタリスト達なんじゃ。マイク・スターンがパット・メセニーとジム・ホールに教わっていたという逸話は非常に理にかなっておるじゃろう。

ひろ子: 「ジャズ・ギター」って確かに禁欲的な印象があります。片やメセニーさんらは自分のスタイルで自由に音楽を作りながら、それでもジャズ魂あふれる演奏を聴かせてくれます。
五反田: それがジャズにおける「自由」というものなんじゃ。その精神に反している「ジャズ・ギター」はジャズじゃない、とわしは思うのじゃ!

例えばいわゆるフュージョン、昔はクロスオーバーなんていわれてた音楽スタイルで、ロックっぽくギターを弾いてたかと思うと、合間にカッコイイ、II-Vフレーズを弾き出すなんていう、ラリー・カールトンのアプローチも見事じゃ。

ひろ子: こういうサウンドでテンションばりばりのフレーズが流れるとカッコイイですねえ! 今のフレーズ、メモしとこうっと!

エフェクターでサスティン・サウンドにすることでギターとしての表現力を広げてると思います。つまり、本来は減衰音系の楽器であるギターがエフェクターなどによって持続音系の楽器に生まれ変わっているというか...

五反田: ピアノがオルガンやシンセサイザーになったようなもんじゃな。ギターにはそんな可能性があるのじゃから、それを使わない手はない、ということじゃ。

カールトンのプレイを聞いてると、ギターの利点を活かしながら、パーカー先生から教わったフレーズも交えて、「ただのギター小僧じゃないよ。ズージャも勉強してるよ! でもやっぱりぼくはギター小僧なのさ!」みたいなメッセージが感じ取れないだろうか?

ひろ子: 結局、自分の楽器がみんな大好きなんですよね!

聞いた話ですが、ジャコ・パストリアスかは少年時代、一人でベースばっかり弾いてて、あの演奏スタイルが生まれたと言います。ウェスも楽譜とか読めなくて、専門の教育とか受けてなくて、全部自己流なんだけど、だからこそ「One & Only」で、しかも普遍的なスタイルを生み出したのかもしれないです。

五反田: ジャズ奏者である前にその楽器奏者であることを忘れるな、ということじゃ。ピアノで言えば

ジャズ・ピアニストである前にピアニストであれ!

ということか。

その楽器が好きだからその楽器を演奏してるわけで、その楽器を極めれば極めるほど、楽器の特性や可能性を理解しつつ、自分の音楽スタイルを築いていくことが重要なんじゃ。

ひろ子: ブルーノートやII-V(ツーファイブ)、テンション、コンディミやウラコードなど、もちろんそういうことは大事だけれど、自分の楽器を愛し、楽器にこだわることが何よりも大切、ということですね。

最終回にふさわしい、深いお言葉でした。最後はスペインのイントロ抜きフルコーラス・バーションをお楽しみください。4,12,16chのボリュームを上げてみてね!

長い間、ご愛読頂きありがとうございました。またいつか会いましょう。
おわり
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五反田博士のよくわかる解説

Spain
1973年チック・コリアのReturn To Foever2枚目のアルバム、「Light As A Feather」に収録。

ドラムも上手い
1981年発表の「Three Quartets」の未発表テイク「Confirmation」でマイケル・ブレッカーとデュオでドラムを聞かせてくれる。

Friday Night At The Cadillac Club
ボブ・バーグ作曲。「Short Stories(1987年)」、「Rhythmstick(1992年)」に収録。
こんなにインパクトのあるフレーズ
マイケル・ブレッカーさまのお得意フレーズ。ここに収めたソロは「El Nino(エル・ニーニョ)」(Two Blocks From The Edge-1997年)でのものだが、いろんな曲で聴ける。詳しい解説は「マイケルのファ・ソ・ラ・シ・ド・レ」で。
ウェス・モンゴメリ
1925年3月6日生まれ、1968年6月15日死去。コルトレーンにバンドに誘われたが、「1曲が長いから」という理由で断ったという逸話はウソか本当かは別にして、非常に納得できる。
ジム・ホール
1930年12月4日生まれ。チコ・ハミルトンのバンドをはじめ、リー・コニッツ、ソニー・ロリンズらとの共演でも有名だが、ビル・エバンスとデュオで演奏した「My Funny Valentine」(Undercurrent-1959年)が凄い。かと思うと時々信じられないくらいつまらない演奏を残したりするのは、非ジャズ・ギターである宿命か?
ソニー・ロリンズ
1930年9月7日生まれ。コルトレーンが登場するまでは天下無敵のテナー奏者だったが、コルトレーンの台頭と期の同じくして一時、引退状態になる。その「引退」から復帰した第1作目がジム・ホールを起用して、ピアノレスで臨んだ「橋(Bridge)」だ。ロリンズはピアノの代わりじゃないギターを入れたかったわけで、この人選は至極当然。絶対にKenny Burrellじゃないのだ。
ジョー・パス
1929年1月13日生まれ、1994年5月23日死去。「ヴァーチュオーソ」と名付けた諸作でソロ・ギターの世界を展開。その昔、「ジョー・パスそっくりさんコンテスト」というのがあり、布川俊樹さんが優勝した。ジョー・パスからジョンスコまで、布川さんが正統派ジャズ・ギタリストである証と言えるじゃろう。
ジョン・マクラフリン...
個人的にはジェフ・ベック、パコ・デ・ルシアあたりも加えたいところ。
オープン・チューニング
開放弦だけでDやGの和音になるようにチューニングを変えること。
ジャコ・パストリアス
1951年12月1日生まれ、1987年9月21日死去。フェンダー・ジャズ・ベースのフレットを自分で抜いて、フレットレス・ベースを作った。デジタル・ディレイと複数台のアンプで作り出すサウンドはまさに「ジャコ・サウンド」。パーカーの「Donna Lee」を弾きまっくったり、ハーモニクスだけで奏でた「トレーシーの肖像(Portrait Of Tracy)」など、ベースという楽器の可能性を発掘したと言えよう。

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